【WeLLs第1回ワークショップ】開催レポート
News | 2023.01.172022年12月8日に開催したワークショップ第1回目は、健康行動ネットワーク 事務局長・禁煙推進企業コンソーシアム 事務局長の米田哲郎氏をゲストに迎え、『トップランナー企業事例に学ぶ女性の健康の取り組み〜体制/制度/コミュニケーション〜』をテーマに開催。
業種も業界も異なる企業(エームサービス株式会社、株式会社大林組、株式会社サザビーリーグ、株式会社サニーサイドアップグループ、株式会社ダイアナ、TSP太陽株式会社、豊田通商株式会社、日清食品ホールディングス株式会社、株式会社HANAEMI、株式会社マイナビ、※五十音順)が集まり、今企業が取り組むべき各企業における「女性の健康」について、ワークショップ式で紐解きました。
第1回目である今回は、先進企業の実例を混じえ、
☑ 女性の健康に対する各企業の方針は?
☑ 制度設計事例とノウハウ
☑ 各種施策事例
という三つの切り口から、企業における「女性の健康」について紐解きました。
【前段:女性の健康推進の弊害要素とパフォーマンス影響要因】
まず、社内や自身に知らず知らずのうちに「アンコンシャスバイアス」が存在していないかどうか振り返ることからワークショップはスタートしました。
女性に対する偏見、例えば「女性特有の不調は本人の課題」「今、働けているなら問題ないだろう」といった無意識下のものの捉え方は、モチベーションの低下やコミュニケーションの弊害を起こしかねません。「女性の健康」を考えるにあたって、アンコンシャスバイアスを排除した上で、まずは社内での女性への理解、そして実際に働く社員へのヒアリングが重要となります。
現状把握のツールとして、以下の公開データも紹介しました。
1)働く女性の健康推進データ(出典:経済産業省)
2)女性の健康に対する課題対策(出典:経済産業省)
3)健康経営調査票から見る業種別偏差値
4)仕事のパフォーマンスに影響を与える因子
「働く女性へのサポート」としては、「生理休暇」「女性特有のがん検診促進」「検診のための休暇制度」などの取組みはあるものの、一番多い「生理休暇」でも企業への導入率は21.1%と決して高いとは言えない数値であるのが現状です。しかし、「女性特有の健康課題に行動を促すための何らかの対策を実施している」企業は91.5%と、多くの企業が課題認識していることが伺えます。
その他、女性の健康課題対応の偏差値が高い企業の傾向や、「就労環境」「生活習慣」そして「女性特有の症状・疾患」など、仕事のパフォーマンスに影響を与える因子についての公開データを用いて、日本を取り巻く女性の健康課題を捉えました。
各種公開データを確認したのち、各参加者に女性のパフォーマンスに影響を与えていそうな自社特有の要素を考察し発表していただきました。
「工場や店舗等の現場勤務の場合、シフト制や夜勤といった就労形態でどのような体制が築けるか」など、各々の会社ならではの働き方や、それぞれの業務への理解を徹底することの重要性を再確認しました。
【テーマ① 女性の健康に対する各企業の方針は?】
そして本題に。女性の健康に対する「方針」を明示している先進企業の7つの事例を紹介しました。
「ライフイベントにかかわらず活躍できる環境づくり」
「KPI:女性特有の症状に理解がある社員の増加」
「心身ともに健康で、長く働く職員の増加、特に女性の産休・育休取得と復帰を推進し、女性の勤続年数+5年を目指す」
など、事例の具体的な内容と、その設定背景を米田氏より解説。まずは行動指針を「明文化すること」が重要であり、あらゆる施策の第一歩になることを学びました。「明文化」することで、人事部のみならず経営層まで一貫したスタンス・想いを、従業員全体・社会全体に浸透させることとなり、結果として企業のPRにも繋がります。
●グループワーク●
各企業に、自社の女性の健康に対する指針・スタンスで足りないと感じたポイントと、社内で議論すべきことを考察いただく中で、次のような声が上がりました。
「男女関わらず長時間労働を懸念している。ワークライフバランスの改善を指針として示す必要があると感じた。」
「明文化したものがそもそもないことが課題。健康経営という視点での宣言はあるが、女性の健康についてはメッセージ発信がないので、設定していくことを考えたい。」
各社からの様々な課題点を受け、社外発信はなくとも、社内浸透させるためにチーム内に発信する「言葉」を示すことの重要性と、指針を明文化する際の「評価指標」についても、先進事例を参考に学びました。
【テーマ② 制度設計事例とノウハウ】
次に、先進企業が導入している「制度設計」についてのノウハウも米田氏より紹介。
有給休暇の積み立て制度や、制度名称の工夫、育児休暇からの復帰支援など、導入している企業10例以上の先進事例を参加者で確認しました。
休暇の日数や、育児のための時短勤務、補助金額など、焦点を当てて検討すべき要素は多岐に渡ります。従業員に使用されやすい制度を設計するにあたり、企業で設定すべき「可変要素」についての理解を深めました。
●グループワーク●
「自社の制度は使われる環境になっているか」「使われる環境になるためにできることがあるか」を参加企業の皆さまに考えていただきました。
「婦人科相談サービスなど存在はしているが、半数以上が使用したことがない。 社員のイントラ上などで告知はされているものの、そこまでリーチしづらい。自分から情報を取りにいかなくても日常の業務の中で情報とのタッチポイントが増えるといい」、「使える環境と、使うことでポイントが貯まるなど、ある意味楽しみを見出しながら社内認知を高めるものも大切」などといった声があがりました。
【テーマ③ 各種施策事例】
最後に、各先進企業の「施策事例」を取り上げました。
月経・更年期の不調に対して、オンライン診療・相談サービスや低用量ピル・漢方等を処方する企業や、貧血・かくれ貧血対策を実施している企業、検診の受診率を上げるために職場に検診バスを呼び、就業中に婦人科検診を受けられるような施策を行っている企業など、20種類以上の事例を紹介。
さらに、不妊治療など秘匿性の高い治療への施策として「治療費申請先を上司から人事担当者に変更したことで利用者が徐々に増加した」という企業の実例をもとに、UI/UXについても学びました。
以上、ふんだんな先進事例とともに、企業が取り組むべき女性の健康について、本格的に向き合った90分間でした!
●ワークショップ参加企業からの感想(抜粋)●
「様々な先進事例を聞き、自社はまだまだと実感したので、今後も引き続き学んでいきたい。また、女性の健康推進を社内で広めていく中で、反対者や無関心者層を巻き込みながら、どの様に進めていくべきか、まずは頭を整理したいと思います。」
「女性のための施策にとどまらず、全従業員にとって伝わりやすいようにすることや、取り組みのネーミングが大切だと実感した。方向性で迷ったときには企業理念、指針により沿ったものから行っていくということを学ばせていただきました。まずは、チーム内で”女性の健康に対する指針”を考え、チーム内の認識を合わせていくことから始めたいと思います。」
「女性が70%を占める会社でありながら、女性の健康に対する取り組みは少ないのかもしれないと思いました。今後もワークショップ、参加企業の皆様とより良い環境をつくり上げていければと思います。」
「女性の健康についてはまだまだ伸び代ばかりですので、他社事例なども含めお話しいただけましたこと大変勉強になりました。社内で「目指す姿」を明確にしながら各論に落とし込んでいければと思います。」
次回(2月16日開催予定)も、米田氏とともに、「教育・研修事例とノウハウ」「相談窓口の設置とノウハウ」そして「 コミュニケーション戦略」について深堀りしていきます。
ぜひ、この機会にWeLLsにご参画ください。皆さまのご参加をお待ちしております。